物語　　　　　　　　　　　　　　　【　金彩の輪　】

　実は…私
物語を書いたりします。　

この物語は
コールセンターで
打電している時に
突然キーワードが
流れ込んで

メモ用紙に書き留め
出来ました。

【　金彩の輪　】

物には…
思いが宿るかも知れない。

それはブレスレット。

針水晶を玉ではなく
四角のプレイトにしてある。

その小さな四角が
いくつも連なり

透明の中の
黄金の輝きが

金彩の輪を
作っている。

久しぶりに
小さな小箱から
出して付けて見た。

流れこむ
意識があった。

これは私のブレスレット
ではない！！

お揃いで買った
物で別れた
人の物だった。

ケンの物だ！
意識が流れ込んで
くる！。

「ようやく
伝えられる」

「僕はもう
肉体が無いんだ」

「死んだ訳では無い
けどね」

「身体から
弾き飛ばされた」

「とっさにこの
金彩の中に
身を隠した」

「身体から
弾き飛ばされた
者は弱くて」

「何かに宿ら
なければ光に
溶けてしまう」

「僕はこのブレスレット
にずっと宿って」

「僕が弾き飛ばされ
もう戻れ無い
身体を見ていたよ」

「僕の身体は別の
人格が支配して」

「あまりの変わり様に
二人はいさかいを
重ねてたね
そして…」

「2人は別れた…」

「僕には
どうする事も
出来なかったんだ！！」

「別れの時に
僕は身体の中の
別の人格に
気づかれない
様にそっと」

「君との
ブレスレットと
入れ変わった。」

「君が腕に付けて
くれたら
僕はこの真実を
伝えられると」

「だけど君は
僕とのペアの
ブレスレットを
この箱に閉じ込めて
しまった」

「君の涙が
ブレスレットに
落ちて僕は
思わず
君の名前を
呼んだんだよ」

「　シーラ　!　」

「だけど僕の
声は届かない」

「箱の中で　　
僕はずっと
眠っていたんだ」

「ケン？」

「本当に？
ケンなの？」

私はブレスレットを
指で撫でた

「シーラ!ごめん!
やっと会えたのに
もう時間が無いみたいだ」

ケンの意識が
流れ込んで
この悲しい思いを
伝えてきた。

「何故？」

尋ねた時に
ブレスレットを
つないでいた
弾力のある糸が
パチッと切れた。

バラバラと
金彩のブレイトが
飛び散った。

「ケン！！」

物には意識が
宿るみたいだ。

ケンの中の
私と別れたい心と
ずっと一緒に
いたい心が
ぶつかって

ずっと一緒に
いたい心が
弾き飛ばされたんだ！

「ケンは私と
一緒にいたかったの？」

弾き飛ばされた
金彩のブレイトを
かき集めて
私は呟いた。

「私もケンと
ずっと一緒に
いたかった!」

かき集めた
金彩のブレイトを
自分で繋ぐ事にした。

アクセサリーの
ショップで糸を
買ってブレイトを
繋ぐ。

「帰って来て
ケン！！」

「シーラ!
これ残留思念
かも知れないよ」

ブレスレットを
つけると
ケンの意識が
伝わってきた。

「うん残留思念
ずっと此処に
いるよ」

「シーラが消えて
というまで」

「バカ!
消えてなんて
言う訳無い!」

おどけた感じの
ケンの意識が流れてきた。

「意志は石に通ず(笑)
そして…
ありがとう」

ブレスレットを
指で撫でながら

「ずっと此処にいて
ずっと一緒にいよう」

と私は言った。

金彩がキラキラと
輝いて

「ありがとう。シーラ」

とまたケンの意識が
流れ込んできた。