唯一無二なスパークリングワイン。シャンパーニュとは?

皆様が愛してやまないシャンパーニュ。
シャンパーニュとは何かと問われたとき、皆様は何と答えますでしょうか。
当たり前のことなのですが、私は「発泡性ワインである」と答えます。
しかし皆様もご存じの通り、シャンパーニュはただの『発泡性ワイン=スパークリングワイン』ではありません。
このシャンパーニュとスパークリングワインの違いは既にご存じの方も多いとは思いますが、シャンパーニュとは一体どのようなお酒なのかを今一度「地理」「製法」「味わい」の3つの観点からご説明させていただきます。

「地理」

シャンパーニュはフランスのシャンパーニュ地方で造られた発泡性ワインです。これは通常のスパークリングワインとシャンパーニュの違いを示すもので最も明確なものです。そのためどのような製法で造られたスパークリングワインであっても、指定されたシャンパーニュ地方産のブドウを使用していないものはシャンパーニュと呼ぶことができません。
シャンパーニュ地方はフランスの首都パリから東へ向かって車で1時間半ほどの位置にあります。フランスにおけるブドウ栽培の北限として知られ、その厳しい寒さの中ブドウは育ち、細やかな泡が立ち昇るシャンパーニュへと変貌します。その「厳しい寒さ」と「白亜質土壌」はシャンパーニュ地方が誇る独自性です。この二つの要素なくしては、シャンパーニュが現在ほど世界中の人々の心を魅了することはなかったでしょう。

「製法」

シャンパーニュの製法を語るうえで最も重要なものは『瓶内二次発酵』です。発泡性ワインの品質にとって「そのワインがどのように発泡性を得たのか」は非常に重要な要素です。
シャンパーニュは数多ある発泡性ワインの製法の中でも最も手間がかかると言われている、『瓶内二次発酵』で造られています。この製法は酵母が発酵の過程で発生させる二酸化炭素を瓶内に閉じ込め、長期にわたり泡をワインに溶け込ませていくのです。
「長期にわたり」というところもシャンパーニュの特徴です。『瓶内二次発酵』で造られているスパークリングワインは、シャンパーニュのみならず世界中で造られています。しかし、シャンパーニュほど「長期にわたり」泡を溶け込ませ、「熟成」させることに重点を置いたスパークリングワインは他にはないと言うことができるでしょう。

「味わい」

優れたシャンパーニュには、「厳しい寒さ」や「白亜質土壌」などが育んだ高品質な酸が含まれています。「長期にわたり」泡を溶け込ませているため、泡立ちは細かく、発泡性をもちながらも決して刺激的ではないクリーミーな口当たりを実現させています。また、酵母と共に「熟成」させることによるブリオッシュやイーストのようなリッチな香りは、飲み手にこれ以上ない贅沢感を与えます。

私は冒頭でシャンパーニュとは何かと問われたとき、「発泡性ワインである」と答えると言いました。しかし撤回させていただきます。シャンパーニュの個性は発泡性だけではありません。近年はシャンパーニュの発泡性を楽しむよりも、その味わいを楽しむ方が増えてきています。偉大な白ワインを楽しむような大きなグラスに入れ、少し温度を高めてシャンパーニュの複雑味を楽しむのです。さらには「私はスパークリングワインではなく白ワインを造っているのだ」という想いをもつシャンパーニュの生産者もいます。このように、シャンパーニュの個性はその発泡性だけだ、とは到底言うことはできません。

シャンパーニュとは何かと問われたとき、皆様は何と答えるでしょうか。シャンパーニュというひとつのワインですが、その味わい、楽しみ方は無数にあります。皆様ひとりひとりにとってのシャンパーニュを楽しみ、時には共有し、そして新しい扉を開いていく。シャンパーニュを通じて皆様の人生がより彩られることを願っております。