
フランスはパリにて開催されパン職人が技術を競い合う世界最高峰の大会「クープ デュ モンド ドゥ ラ ブーランジェリー(Coupe du Monde de la Boulangerie)」にて、2005年に日本代表のチームリーダーを務め上げ世界第3位の名誉を獲得し、実力が世界的に認められ、飛騨高山よりその名を轟かせている成瀬正(Tadashi Naruse)氏が率いるブーランジェリー「TRAIN BLEU(トラン・ブルー)」。
オーナーブーランジェの成瀬正氏は、大正元年創業のパン製造会社「有限会社なるせ」の4代目であり、成城大学経済学部卒業後、(株)アートコーヒー、(株)ホテルオークラ東京、日本パン技術研究所などを経て、1989年に故郷である高山市にて「TRAIN BLEU(トラン・ブルー)」を開店。2005年のパンの世界大会にて世界第3位の輝かしい賞を獲得、2012年には同大会にて監督を務め堂々の優勝を果たします。そして、同年にNHKの「プロフェッショナル仕事の流儀」に出演され、その名が広く世に知れ渡ります。2016年には日経新聞「シュトレン」のランキングにて1位を獲得し、著書「トラン・ブルーが切り拓くパンの可能性/旭屋出版」や御自身の働き方やパンに対する哲学を述べた著書「世界も驚くおいしいパン屋の仕事論/PHP出版」なども出版される中、国内に留まらず中国や台湾、韓国での講習、技術指導を多数行われており、パン職人として世界中から注目を集めています!
日本国内、遠路遥々飛騨高山へ、このパン屋を目指して足を運ぶパン好きも多く、休日には早朝から整理券を配るほどの人気店で長蛇の列は覚悟の上でいたものの、平日のお昼前に到着したこの日は、運良く行列の少ない日で、店内の人数制限はあるものの、15分程度の待ち時間で入店することができました!
入り口の木製ドアには可愛いミモザのハーフムーンリースが飾られており、まだ残雪がある高山でも小さな春を感じることができます。店前に並ぶ手描きのポップ等を眺めながら、店内の様子を伺い、今か今かと待ち侘び胸が高なります!
隣接する工場は、成瀬氏の今は亡きお父様の経営されていた「なるせパン(NARUSE)」のパン工場。学校給食のパンや、高校の売店用のパン、病院や市役所等へ卸売するようなパンを作られており、高山市の地元スーパーなどで販売されています。高山市の皆さんが幼い頃から側にあった馴染み深い「なるせパン(NARUSE)」ではありますが、成瀬氏は「なるせパン」とは全く別のブランドとして「トラン・ブルー」を立ち上げられ、御自身も大好きなヴィエノワズリーを中心に構成されています。ヴィエノワズリーとは、クロワッサンやデニッシュなど折込み発酵生地、あるいは卵、砂糖、バターが入ったブリオッシュなどの発酵生地で作られたパンのことで、「トラン・ブルー」では、やはりそれらのパンが大人気です!
店内に入ると、ウェイティングブースの後ろに掲げられた世界大会でのトロフィーやメダル。食べログ百名店でも選出されています。
L字のこじんまりとした店内にはショーケースが並び、所狭しと並ぶ40種以上のパンたち!そのバリエーション豊かな種類の多さに驚きを隠せません!
オーダー待ちしている間にどれを購入するか目を通しながら、スタッフの方にお声かけいただいたタイミングで欲しいパンをお願いしていきます。
奥に進んで全種類のパンを眺めては、どれも食べたくなり、手にしたくなる衝動に駆られるも、その中でも厳選してバランスよくオーダー!
浜松⇄高山間と車でおよそ3時間半の遠距離ということもあり、今回は要冷蔵のデニッシュだけは諦めました。
しかし、毎日お昼頃に焼きあがるという焼きたてのクロワッサンだけは何としても手に入れたい!厨房に目をやると、目の前のオーブンにクロワッサン生地が整列している姿が!他のお客様も同じくクロワッサン目当ての方もいらっしゃるようで、「焼き上がりますか?」と質問されている様子が伺えました。
様々な種類のクロワッサンやデニッシュが並ぶショーケースの前でも吟味し、全てをオーダーし終えたら、中央にてお会計を済ませます。
私もパン作りには使用している「LESAFFRE(ルサッフル社)」のアンバサダーも務められている成瀬氏。その証明書も飾られています。
先日、名古屋のミシュラン2つ星のフレンチレストラン「Reminiscence(レミニセンス)」にて、コース内で提供されているこちらのパンに感動した流れで、是非とも直接訪れてみたいと思い、事前に葛原将季(Masaki Kuzuhara)くんにお願いし、成瀬氏にアポイントメントを取って頂いたことで、この日お会いすることができました!浜松からの手土産はもちろん私たちが応援する「天使音マスクメロン」。この究極のマスクメロンをパンに使用するには難しいかもしれませんが、天使音の美味しさを実感していただければ幸いです!
「レミニセンス」の繊細なコースに寄り添った3種類のパンがどのようにして生まれたのか、また岐阜⇄名古屋と離れていながらにして、レストランにて毎日美味しいパンを提供するために仕上げる技術など、葛原くんとの出会いのキッカケからコラボするまでに至る経緯などを伺い、短い時間ではありましたがとても楽しい時間を過ごさせて頂きました。また、成瀬氏のもとで修行され、独立されたパン職人の方が全国各地にいらっしゃるというお話を伺っていると、私たちの住まう浜松にもお弟子さんがおられるとのことで、出てきた名前が何と「Boulangerie Kaseru(ブーランジェリー カセル)」。こちらは、私たちが富塚に住んでいる時によく足を運んでいたパン屋であったため、大変驚きましたが、これを機に、また「カセル」にも足を運んでみたいと思います!
成瀬氏の事務所の壁に貼ってあったイラストが気になり、目をやると、成瀬氏の似顔絵と共に「シェフがクロワッサンをつくるとき、手もとはサニブラウン」と書かれていました!成瀬氏のクロワッサンを作る早業を日本の陸上競技のサニブラウン選手と重ねるとは、何とも発想力豊かな子のユニークな目線ですね!他にも子供達からの似顔絵が幾つか置かれているのを拝見し、成瀬氏の温かいお人柄に触れることができ、ほっこりとした気持ちにさせてもらえました!
店名の「TRAIN BLEU(トラン・ブルー)」とは、フランス語で「ブルートレイン」という意味を持ち、長い道のりを目的地に向かってコツコツとひたすら走り続けていく、という願いを込めて名付けられています。目新しさや流行ではなく、昨日より今日、今日より明日、より一層パンが美味しくなるようにと願われており、日々妥協することなく真摯にパンと向き合い、探究心を持って臨まれるパン作りだからこそ、皆に愛されるパンとなるようです!
今回セレクトした17種類のパンは、どれをいただいても、そのふんわりと包まれた柔らかさと軽さに成瀬氏のパンに注がれる深い愛情を感じることができました!飛騨高山へ足を運ばれる際には是非ともお勧めしたいパン屋となります!
TRAIN BLEU(トラン・ブルー)
住所:岐阜県高山市西之一色町1丁目73-5
TEL:0577-33-3989
営業時間:10:00~18:00(※売り切れ次第CLOSE)
定休日:水曜日(※店の営業については公式サイトのカレンダーをご確認ください)
駐車場:店横に有(無料)
https://www.trainbleu.com/
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